読んだ本・借りた本

  • seiuchiの最近読んだ本

買い忘れないように

カレンダー

無料ブログはココログ

« ポンペイ展に行ってきた | トップページ | 「はやぶさ」のひかり »

再読のおどろき (妖星伝)……こどもに読ます本って?

今日は図書館でふと手に取ったので、半村良の完本 妖星伝〈1〉を読んでた。

実はこの本、そうとうに久しぶりの再読。初読は小学校三年か四年だったので、相当にムズカシかった。伝奇SF小説の嚆矢ともいうべき本だが、娯楽伝奇活劇でかつ思索的・哲学的な、けっこうな大作である。

てゆーより、まず、レビューでも「エロいですが」と但し書きがつくよーな本をそのトシで読むのもどうかと思うが、手の届く範囲にある活字という活字は何でも読んでしまう時期ってきっとあるよね。
世の親御さんには、子供の手の届く範囲に置く本は吟味しておくことを薦めたい。とはいえ、うちのよーにトシの離れたきょうだいがいたりすると、そうも言ってられないか。
それになにより、子供も子供なりに、持って生まれた因業もあるだろう。親子の縁だろうとそういうものは如何ともしがたいものだ。

で、再読しておどろいたことは、初読の時は長大でスローペースに感じてたが、「え? こんな展開、はやかったっけ?」とおもう、ものがたり感覚の速度差。三倍速の早回しくらいに感じる。読むスピードの違いもあるだろうが、体感する時間の早さの違いが、もう別次元。

やっぱり、世の親御さんには、子供の読む本はよく吟味することを薦めたい。世にいう悪書を読ませるな、というのではない。
『子供にとっては、その世界に入ってる時間が、今の自分の何倍も長いのだ』 ということに改めて気づけたら、『退屈なだけ・扇情的なだけ・おためごかしだけ』ってな粗雑な世界に、何時間も、ときには何日も、子供を放置するのは不憫だよね。

再読しての感想つづき。
ストーリー展開や文章や知識の細かいアラも、今になってみれば気づける。自分も読みスキルが上がったんだなぁ、よかったなぁ、とおもう。まぁそもそも、この小説を時代背景もふくめて理解するのは人間10年やそこらではムリだとおもう。田沼意次あたりならともかく日蓮宗不受不施派とかの知識がある小学生は稀だろう。

とはいえ、「なにがなんだかわからないけど、すごい、おもしろい」と思って読んでたのは、まぎれもない事実。
あとで四巻が発売されたときは、近所の本屋で四時間かけて一冊立ち読みしたっけ(どう考えても親に買ってもらえるタイプの本ではないもんなぁ)。こどもだろうが何だろうが、作者の熱さって伝わるものだ。

残念ながら「妖星伝」は、半村良が「太陽の世界(未完)」を書き始めて、ばたっと筆が止まり、6巻のあと15年経ってようやく最終巻が出た。その前から物語が途中で失速してた感は否めなかったけれども、最終巻での緊迫感はなかなかだったし、完結したのはすばらしい。

再読しての感想、そのまたつづき。
各シーンやセンテンスを、けっこう正確に覚えていたことに衝撃。すごいぞ、子供の記憶力。
具体的な発達年齢は人それぞれだが、『何でもかんでも複写期』 はある気がする。むかしは、幼少時に漢文素読や丸暗記をさせていたのは実に意味があることだとおもう。
まともに見てはいなくても子供の頃の特撮やアニメの歌は覚えている、という人も多かろう。70年代歌謡の歌詞とか、しょーもない因業系なことばかり覚えている自分が哀しいが、きっと私だけではあるまい。

こどもって、つまり何でも読むし、実は幼稚ではないから、『こどもに読ませる本』 ってホントにむずかしい。
「名作を読ませよう!」ったって、ファストフードが大好きな子が多いように、絵でもお話でも音楽でもなーんでも、味付けがわかりやすくてハデで濃い、定型型の量産品ほど、好きなもんだしね。
ということで、まぁ、単純な基準として。
こども……特に低年齢層……には、あとから来る人への想いを持てる程度に成熟したヒト、つまり『大人』が創ったものこそが、必要かとおもいます。はい。

※「妖星伝」初読時の装丁デザインは横尾忠則で、禍々しさが実によかった。松岡正剛の「産霊山秘録」紹介ページの下のほうで見られます。

« ポンペイ展に行ってきた | トップページ | 「はやぶさ」のひかり »

愛する本・映像」カテゴリの記事

コメント

せいさん、こんにちは
日本の歴史の小説で、こども向けには何がいいかなあ、と
探していたら、せいさんのブログに出会いました。
「あとから来る人への想いを持てる程度に成熟した大人が・・・」
というところ、とても感銘しました。

息子は小学校4年生、急に戦国武将の小説を読みたがるようになり・・・
良書を見つけるのが難しいです。私が歴史に興味なくここまで
きてしまい、その上、読書量が少ないので、目が肥えていません・・・

買う前に、(エロい描写がないよね・・?)とチェックすることばかりでしたが。
せいさんの妖星伝を読んだお話を聞いて、そればかりに目くじらだててもなあ、と
思うようになりました。

「なにがなんだかわからないけどすごくおもしろい」
そういう気持ちを息子にも持たせてあげたいです。
いまは司馬遼太郎にも挑戦していますが、速度はゆっくりです。

せいさんのお勧めの歴史本がありましたら、ぜひ教えていただけると
うれしいです。今後もよろしくお願いします。

akikoさん、こんにちは。コメントありがとうございます☆
拙い文章に過分のお言葉、ありがたき限りです。

息子さん、戦国武将にハマっているのですか~。なかなかカッコイイ時代ですものね。
幕末ものは多いけど、戦国ものって今ひとつ少ないような。

司馬遼太郎は安心して読めますし、ゆっくりでも、難しくても、楽しめると思います。
私も小学生の頃に読んだ「燃えよ剣」とか、今でも覚えていますもの。

ちょっとケレン味は強いですが、隆慶一郎の「一夢庵風流記」なども読みやすくて
いいかもしれません。まんが「花の慶次」の原作です。

歴史ものは背景を頭に入れるのが難しいので、最初のうちは、こども向けの
「まんが日本の歴史」のちょっと詳し目のものを読ませてあげとくと楽ですかね。

でも、こどもは面白いと思ったら、自分なりにしゃにむに読んでいくし、それで
わからないところが多々あっても、後日また別の本を読んだらわかってきたり、
自分なりに消化していきますからね。
背伸びや乱読の自由を奪わないことも、おとなの「見守り」かもしれません。

息子さんが面白い読書を堪能できますように。今後もよろしくお願いします。

せいさん、お返事ありがとうございます。
なるほど・・・ 子どもってそういう力、あるんですね。
「これは難しいからやめておこう」などと、親のふるいに
かけてチャンスを奪わないようにしようと思います。

お勧めの本、ありがとうございます。さっそく注文しました。
私も一緒に読んでみようと思います。

突然のコメントに丁寧にお返事くださりありがとうございました。
これからも更新を楽しみにしています。
お身体をご自愛ください。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17296/48612818

この記事へのトラックバック一覧です: 再読のおどろき (妖星伝)……こどもに読ます本って?:

« ポンペイ展に行ってきた | トップページ | 「はやぶさ」のひかり »