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ヘンリー・ダーガーの映画みてきたよ

今日はクリスチャンの姉と一緒に、ヘンリー・ダーガーの伝記?映画を観てきた。義兄のご好意に深く感謝 m( _ _ )m。
以前、いちど見にいこうと映画館まで行きながら、結局は観ずに帰ってきた経緯がある映画だ。鬱のときに観る映画か?という気もするが、自分にとって、すさまじく示唆的な映画ではあった。

観た直後の感想は「ピントのズレたヨブ記」

まあもちろん、「失楽園」のものがたりでもあり、20世紀初頭の問題行動児の処遇の悲惨なものがたりでもあり、光と闇の新世紀都市シカゴの片隅のものがたりでもあり……。少女時代に隣人だったという初老女性には「私は彼を狂人だと思ってました。ああいう人は貧乏だと『狂人』、金持ちだと『変人』。貧しかったからつまり、狂人よね」とさらりと回顧される、どこまでも孤独な人間の、「非現実の王国」と「現実の人生」のものがたり。

現実の世界では、厭人癖の変人の無口な清掃人。だが孤独な生活のなか、誰に見せることもなく、60年以上に渡って1万5千ページあまりの異様な「非現実の王国の物語」(それもレターサイズでぎっちり行間のつまった!)を書き続け、さらに数メートルにわたるサイズの挿絵を300枚以上も描きつづけ、おまけに何千ページにも及ぶ自伝や天候日誌も書きつらねていた……って、もう絶句するしかない。「表現しないと生きていけない」なんて陳腐な言い回しを、生きて実証されてしまうと、どうしていいのやら。

まぁ、ほんとに、なんつかー……私の感想としては、「ヨブ記」なんだよね。
とはいえ、現実の人生でお気に入りのモデル写真を紛失したといって、神に祈り、聞き届けられないといっては神を呪い、非現実の王国でキリスト教国軍の敗北と大虐殺を繰り広げたあげく、三ヶ月休筆してやる!と一人で息巻いて、しまいに、タブロイドに載っていた「強盗犯が絞首刑になって地獄に堕ちた」なんて三文マンガを読んで、回心して泣いて神に祈る。
……いったいどういうヨブ記なんだよ。人間の卑小さと悲痛さは、爆笑するほど滑稽であると同時に、慟哭したくもなるよ。

そいでもって、死の直前になって作品が人に知られるという、恩寵とも報いともいえるような展開。
「“人間には明日の天気もわからない”と聖書で言われている」と、天候日誌を十年以上書き続けながら天気予報士の予報が外れるのを嗤っていたというダーガーは、ではそんな「はからい」をどう理解したのか?

この映画で、「非現実の王国」のエンディングについて知ったのだが、何というか……。
卑小で惨めで、だが切実にすぎる「ヨブ記」に、「気楽にネタバレ♪」は、ちょっと私には書けない。

……まぁ、ここまで読めばおわかりの通り、私はヘンリー・ダーガーについては、アートとしてというより、何か人間存在の不可思議さ、としての興味のほうが大きい。
映画で、あの絵が(あの絵にふさわしい不自然さで)アニメーションするのは、なかなか面白かった。でもそれ以前に、ダーガーの絵をもうちょっと鮮やかにして、「塗り立ての、完成したばかりの状態」っぽい感じで見てみたい。水彩絵具、ましてやダーガーが使ってただろう安いやつだと、乾くと色が軽くなる(し、褪色もしてきてるだろう)気がするので……。

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