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「ペルジーノ展」と「ヘンリー・ダーガー展」-個体発生は系統発生を繰り返す?

今日は実姉とひさびさに会って、たのしく美術展をハシゴ。

まず最初は、損保ジャパン東郷青児美術館……ある程度の世代には「バブル期に騒がれたゴッホのひまわりが置いてある美術館」……でのペルジーノ展。なんでもラファエロの師匠だとかという話。
興味深かったのはペルジーノの作品それ自体よりもむしろ、その前世代の作家たちの作品も並べている点。人体比率なぞムチャクチャな時代、だんだんとリアルになってく時代(レンズが導入された?)、線遠近法が使われてく時代、油彩が取り入れられた時代、空気遠近法がフツーに使われる時代、と、時代の変遷を感じられる。何か美術史をたどるというより、フツーの絵描きさんがたどる、厨房な主観絵、高校生になってやや万人向け、大学に入ってアカデミックに勉強……といった変遷をなぞるようで、なかなか楽しかった。
この時代の絵は工房で大量制作してたので、使い回しや弟子による作画はアタリマエ。「これはアシさんが描いたんだろうねー」とか、「建築物が入った難しい絵だけは先生じゃないと描けなかったんだねぇ」とか、まるで池上遼一だかさいとうたかおプロの作品だか見るような楽しみ方をしてきた。しかし、ジュニア向けの展示解説本で、「使い回す」「弟子に描かす」とかいった、ペルジーノの ”成功のひみつ” なぞ説明せずともいい気も……。コピペ厨乙、ではないか。また、宗教画に見られる顔の回りに羽根だけついたタイプの天使像をペルジーノも描いているのだけど、なかには羽根というよりラフレシアの花弁のよーでキモいものがあった。これは7/1まで。

そこから品川に移動して、原美術館のヘンリー・ダーガー展。某PATIOの皆さんと共に世田谷美術館で見た、かの「パラレル・ヴィジョン展」が懐かしい。野外の休憩所で東京ビートルズを鳴らして皆さんのヒンシュクを買ったのも懐かしい。ワタリウムにも行ったので、ダーガー展は都合三回目になるのだが、記憶の中よりも絵が小さく見えて、記憶のあやふやさにびっくり。
今回は、その孤独きわまる人生や残虐でグロイ側面ばかりを取り上げられがちなダーガー作品の、「楽園」部分に重点を置いた展覧会。最初期のコラージュ作品から、コラージュ&トレース、そしてトレース使い回し&独創、といった変遷が見える展示にしてあり、ここでも、個体発生が系統発生を繰り返しているよーな様子が面白い。またダーガーが暮らしていた室内の写真が多数展示してあるのも興味深い。さすが原美術館だなと思ったりして。
さらに。今回の収穫だったのは、(たぶん晩年の作だと思うのだけど) 背景や物体にハッキリと明暗をつけた絵を発見したこと。リアリズムの萌芽! ちょっとホンモノっぽく見えるようになった絵を前に、ダーガーはきっと、うれしかったのではないだろうか。
自分が構築した壮大な物語を 「ビジュアル化したい!」 と思い、でも絵なんてやったことがないから、丹念に素材を集めてコラージュし、それでも何か違われでトレースを始め、やがてトレースをがんがんと組み合わせ、反転させ、塗り分け、どんどん 「自分だけの世界」 を築いていく。巧い下手とかの囚われを超え、全霊の熱意にひきずられ、表現の楽園をたどたどしく、だが生々しい嬉しさに満ちて、歩いていく、そんなナマのよろこびが胸に来ました。
いつどんなふうに歩いてもいい道が誰にも拓けていること、それ自体が恩寵ってもんじゃないだろうか。
そしてまた。ダーガーの楽園風景の色遣いを見て、「独特だよなぁ……」と思ううちに、はたと気づいた。
「これは、幼い頃に見た“りぼん”(少女漫画雑誌)的な色遣いだよ!」
ダーガーにカラーインクを差し入れたかった……私ゃ使ったことないけど。新しい画材って楽しいから、悦んでもらえたと思うぞ。
こちらは7/16まで。人気がある作家だけに、平日でもそれなりに混んでます。行くつもりがあるなら早めがオススメ。ちなみに品川駅から美術館近くの「御殿山ガーデン」まで無料送迎バスが出ているので利用すると良いかと。原美術館の屋上からの心やすらぐ眺めを毀した代償として、そのくらい使ってやらんとな。

美術展ハシゴのその後は川崎に移動して、スパイシーで美味しい手羽先をたらふくご馳走になり、ゆっくり楽しく歓談し、心にふとん乾燥機をかけたような幸せな気持ちになりました。多謝。

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