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ゼニを取れる芸

金曜は帰りがけに連れと一緒に渋谷へ行って、クラッシックのコンサート。
といってもリッパなものではなく 「クラッシック100」なる初心者向きCDがヒットしているので、その便乗企画として開催された素人さんウェルカムこんさーと(TV収録つき)というものだった。結論から言ってしまうと、やはりTV向きというべきか、はりぼてのデコレーションケーキのようなコンサートであった。“のせられたい” “だまされたい” 善良な素人さんである我々としても対処に困った。
最初の音合わせのところで感じた微妙な違和感は、こないだのコンサートで聴いたばかりのモーツァルトの曲の演奏で決定的に。こないだ聴いた時には 「やっぱモーツァルトだね~」と思った、水銀の珠のようなキラキラ感や跳ねるような弾力や飛翔感が、ないのだ。その謎は、連れが「これさ~、音が “La” じゃなくて日本語の”ら”だね」 といったところで解けた。つまり音が洋食。しょうゆくさい。……でももまぁ、それはそれとして音楽は楽しみたい。私らかて民謡の民、洋物の肉でなくてもよかろ、ということで。
ただ、それを差し引いても……ねむたい音楽だった。寄せ集めオケということもあるのか? 門外漢にはよくわからんのだが。

しかし、チャイコフスキーコンクールで優勝したピアニスト・上原彩子さんなる人は凄まじかった。鬼気迫るというかお憑かりというか、ナマのいのちを乗っけて音を響かせる。ドイツ表現主義の画家のデッサンみたいな、でぐでぐと手ごねした指跡が感じられる音、なおかつそれを支えるのは 「うげー!」 と驚嘆する巧さ。メロディーが重たい筆をふるう後ろから、静かなさざめきが聞こえるから何かと思えば、左手があたかも他人のように天上の音を奏でていた。
音楽家というのも、今まで縁遠くて理解できなかったけど、芸術とやらに冒された人々の例に漏れぬ “ケッタイな何か” なのだなぁ、とよくわかりますた。
んで目当ての千住真理子はサクサクと2曲弾いて帰りますた。自分のリサイタルの宣伝活動としての出演なのだろうし、ソリストはそれでいいと思いまつけど。クラッシックはよう知らんので腕の優劣はわからないのだけど、この人のストラディバリウスのバイオリンが実に実によい声で歌いかけてくるので好き。最初聴いた時は、セミみたいな響きの、ダミ声というかクセのある声で「なんやこれ」と思ったけど、ずっと聴いてると「人の心の機微を知ってる歌芸人」の歌を聴いてるような心地よさがでてくる。ナマで聴いても実にいい音ですた。何とかしてまた聴きたい。

で、まとめとして思ったこと。 「クラッシック音楽のプロが育つには、日本に西洋音楽が入ってきてからまだ時間浅すぎ」。プロというのは “その人の名に対する投げ銭” の有無の問題なので、まず投げ銭が生じる土壌があること(寄席とか芝居小屋とか街角演奏とか……言い替えればそれだけ人口に膾炙していること)が必要ではないかと。日本のクラッシック界では、海外に出て投げ銭を取ってくる形で優れたソリストは生まれても、それ以外の国内でのコンサートは“お勉強”風に扱われるからダメなのではないかと。
もちろん私はクラッシックには無知だが、客をナメてる演奏の時は拍手はしないし、面白かったら思いきり拍手をする。つまんなかったらブーイングしたって野次とばしたっていいと思う。“芸を育てるための” 客の義務だし (ストレス発散や八つ当たりの悪罵は違うぞ)。

こないだのコンサートの演奏家たちはアカデミックでまっとうな音楽家たちではあろうが、一方で、投げ銭で食っていけそな腕いっぽんのやくざな芸人Soulを感じられた。王様の前で、お気に入りの音楽をひとくさり、ご婦人方に流行歌も取り混ぜて、さらに気の利いたフレーズも披露し、キレイで声のイイねーちゃんにも歌わせて、宮廷の雰囲気を華やかにさせる、そんなエンターテインメントの “ギルドの伝統” が感じられた。
いっぽう、迫力あるピアニストが聴かせる音は、異様な緊張感で人を眠らせない。くつろぎや気の利いたウィットはないし、何が何だかわからないし、デート等には不向きかもしれないが、ともかく圧倒させられて 「すごいものに触れてしまった」 と舞い上がらせてしまう。
どちらにせよハッキリしているのは、エンターテインメントもアートも眠たいものではないってことだ。その点、やっぱねむたいコンサートだった……。

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