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美しい希望の季節

数日前になるけれど、山口椿の『逝く夏に』を読んだ。この作者は、凄まじく哀しく美しい(赤い血の脈打つ生を、星辰を砕いた螺鈿で、精緻かつ優美に象嵌したような、という感じ)ポルノグラフィアの名手だが、これは敗戦直後の少年たちを描いた、自伝的な作品だ。
練り物でできたような栄華とその雲散霧消。暴力と無法。ぽっかりと空いた穴。若い牡の悲痛なエネルギー。青い空。臭い汗と饐えた血の匂い。のうてんきなジャズ。ぶつけ合う肉体。タマシイの底に流れる、どこかから奏されるチェロの響き。
人はよく言うものだ、生活を変えたい、生き方を変えたい、と。だが選択の余地もなく変わってしまったら? そしてそれが多感な時期を直撃したら? こういう時を生きざるを得なかった人は多々居るわけだが、だが、見えなくなっている。傷ついたのなら晒してから死んでほしい、というのが後進としての願いだが、傷というのはそう簡単に済む問題でもない。人は生き物で、やわらかい。老木もその折れ口から生々しく枝を生やしたりするものだし。
なんだか、生きるエネルギーの美しさ、むごたらしさ、やるせなさに、かなり当てられる本だった。

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